秋と冬の間の季節

初霜で冬の訪れを感じつつ、春の三寒四温と同じように冬の入り口も寒さが寄せては引くのが今頃です。八ヶ岳では今年は紅葉が遅れ、ようやくここ数日に標高900mのこの辺りもカラフルな彩りが深まってきました。

もみじ葉楓

ヤマボウシ

ブルーベリー

桂の葉っぱは落ちてしまったけど、色を変え始めると香ってくるキャラメル臭があたりに漂っています。

秋きのこ、くりたけも顔を出しました。

この秋とも冬ともいえないほんの短い季節は冬ごもりの準備の季節です。冬が好きな八ヶ岳の民は多く、「冬である」という大義名分を持って休眠期に入る山々と同じく皆暖かいお家の中で思い思いに過ごすのを心待ちにしているのです。

甲州名物柿暖簾

そんな束の間のハザマの季節。お籠りの準備はたくさんあります。

まずは甲州名物干し柿作り。

この季節の八ヶ岳にはオレンジの花火のようにそこら中に柿の木が実をつけています。

山梨の人にとって原風景とも言える柿暖簾もこの季節の風物詩。柿の種類はいろいろあり小さいものから大きなものまでさまざまです。

その中でもこの百目柿はその名称からもわかる通りは百匁(約375グラム)から付けられたと言われているほど大きな柿です。1つ500gもあるものもあるというほどです。

そんな百目柿今年は知り合いの方から50個もいただいてしまいました。

実は我が家にも百目柿を育てています。桃栗三年柿八年と言いますが、まさに植えて8年目に突入する今年、オレンジ色の実が9個付いたのです。

しかし大事に育ててようやく収穫し、念願の干し柿にしたところ…1週間ほどでカビたのです!!

私は山梨に住むようになって15年ほど毎年柿を干してきましたが、一度もカビさせたことはありませんでした。それは私の腕がいいということではなく、八ヶ岳のカラッとした冷たい空気がそうさせてくれていたのです。

それが今年は夏からも異様な湿度の高さで、柿の不作も相まってとてもコンディションが悪かったようなのです。とてもショックでした。

しかし、ここでせっかくいただいた立派な百目柿!リベンジです。50個の柿を剥き、蒸気で蒸して寒空の下に干しました。

そう、この風景です!暖簾のように何個も垂れ下げるのも風流で素敵で何度もやったことがありますが、大きな百目柿にしっかり満遍なく風と光を当てるため今年は念には念を入れて一つ吊りです。うまく綺麗な干し柿になってくれるでしょうか。

連動する暮らしの知恵

そして忘れてはならないのが、柿を剥いた皮です。こちらもしっかり乾かして、もう時期収穫となる大根を干してたくあん作りに使います。

米を育て糠をとり、干し柿の残り皮を使い保存食を作る。なんという充実感でしょう。この時期に出てくるりんごの皮なんかも入れちゃいます。畑で防虫してくれていた唐辛子も。

この次の原風景作りは大根干しです^_^

こうして一つ作ると次が動き出すという無限に連動した暮らしがあるのです。

カリンの実でつくるお菓子

さてさて、この時期はこうした加工作業が目白押しです。

今日は友人がカリンの実を持ってきてくれました。お風呂に入れたり、置いておくだけでも甘酸っぱいいい香りがするのですが、今回は久しぶりにスペインの伝統菓子メンブリージョを作ってみました。ポルトガルではマルメラーダと呼ばれる酸味のあるフルーティな羊羹のようなお菓子です。

本来はカリンの親戚であるマルメロというフルーツを使います。同じバラ科であるりんごで作ることもあります。

このメンブリージョは干し柿同様チーズとの相性も抜群でワインのお供など最高です。

こちらは以前つくった紅玉りんごとミックスしたメンブリージョ。色も綺麗です。

これから贈り物やお待たせの多いシーズンがやってきます。ちょっとしたギフトにも喜ばれそう。日持ちするのでお正月の箸休めにもいいかもしれないですね。

収穫の秋を迎えると、近所に住む友人間でいろんなお裾分けが飛び交います。幸せで豊かな作業で大忙しですが自然の恵みと人の温かさを感じられる暮らしが私はとても好きです。