今日は立冬。寒気も流れ込み最近では1番寒い朝でした。
毎年11月の声が聞こえ始めるとここ八ヶ岳の朝晩はキュッと冷え込み始めます。
早めの紅葉を迎える樹々は落葉し始めて地面を赤や黄色の顔色が埋め始めます。
その紅葉の絨毯を見ると連想するのが薄紫色をしたお花、サフランです。
サフランといえばアタルバ社のクリームにも含まれる高級ハーブですが、なんとそのサフランが我が家の庭にも落ち葉をかき分けて咲き始めるのです。
八ヶ岳は冷涼でカラッと乾いた空気と水捌けの良い土が世界のサフランの産地にも似たところがあり、球根を植えっぱなしでも割と苦労なく育ってくれます。
ハーブとして知られるのは紫の花びらの中にある赤い3本の雌蕊です。乾燥して売られているサフランはどこかスーッとしたような特徴的な香りがします。
パエリアやサフランを含むお菓子、サフランティーなどは赤い雌蕊から抽出した黄色い色素と同時にその香りが印象的です。
しかし咲いたばかりのサフランが放つ芳香はそれとはまた違っていて、なんともフルーティでフローラルな甘美なまでの魅力的な香りです。
私はすっかりその香りに魅せられて、もう10年もサフランを育てています。この香りはフレッシュなときにしか香ることができないのです。
サフランは寒い朝の1番の太陽と共に花芽を伸ばし、準備の整った最高な瞬間に空を仰いで花を開きます。雨が降ったり空気が湿っぽい日には成長を止めているようにも見えます。まるで自分が開く最高の時を知っているかのようです。
私はそんな姿が見て、毎朝落ち葉を踏み締めて摘みに行く朝の時間がたまらなく好きなのです。
しかしそんな最高な瞬間と言いながら、半分開いた頃に摘んでしまいます。
サフランは完全開花してしまうと雄蕊から受粉が開始されてしまうのです。雌蕊のもつ色素や薬効をいい状態で収穫するために、申し訳なく思いながらも一つずつにお礼を述べて摘んでいきます。
摘んだお花は6枚の花びらを外し、赤い3本1組の雌蕊をちぎらないよう注意しながら抜き取り乾燥させます。
花びらはアントシアニンを含んでいるので、ビネガーにつけると綺麗なショッキングピンクを抽出できます。ドレッシングやビネガージュレなどにしてサラダに添えたりもできます。
私は今年は染色用酢酸液につけて花びら染めをしてみようと思っています。
そしてこの作業をしている間も終始至福の香りに包まれるのです。
サフランは球根植物です。
なので開花する時は必ずしも土の中になければならないわけではありません。十分な栄養を蓄えていれば室内に置いておくだけでも開花してくれます。雌蕊の色素を濃くするため水切りする意味で、湿気の多い日本の生産者の方などは敢えて土からあげて開花時期を待つ方も多いと聞きます。
ですからサフランはお部屋の中でも、面倒を見るのが苦手という方でも、つまり球根を置いておきさえすれば花を咲かせることができるのです。
フレッシュなサフランの甘美な香りを体験したい方、サフランの球根は8〜9月頃から園芸店やインターネットショップなどで販売され始めます。お手元で開くサフランを愛でてみてはいかがでしょうか?
sameera