新米と新嘗祭と命のバトン

ここ八ヶ岳標高900mも日に日に紅葉のベストシーズンとなってきました。しかし今年は例年よりも遅かったのもあり、一瞬で過ぎ去っていってしまいそうです。

11月23日は新嘗祭

11月も半ば、もうすぐ収穫を感謝する新嘗祭です。今年は米不足も報じられ新米の出荷が急がれましたが、本来新米はこの新嘗祭に初めて食べるものとされていました。

実際お米は収穫したてよりも少しおいたほうが味に深みや甘みがのってくると言われています。

天日干し米の籾ずり

我が家の米の収穫も先月には終了していましたが、そんな新嘗祭を前にアートビーングのショッピングカートでもしばし欠品になっていた代表の育てる天日干しササニシキ食い扶持米を籾ずりしてきました。

農協と並んで地域の精米を一手に引き受ける民間のライスセンターで個人のお米も籾ずりしてくれます。大きな機械であっという間です。

ちなみに商品である『天日干し米』には稀に選別を間逃れた籾が混入することがあります。農家の食い扶持米ということでどうかお許しください。

お米のリアルな姿にご興味を寄せていただければ幸いです。

剥がされた籾は土づくりに

機械からは籾を剥がされた玄米が出てきますが、籾の部分は回収されます。籾殻は後から別途分けてもらうことができます。

分けてもらった籾殻からは籾殻くんたんを作ります。それを畑の土に漉き込むことによって、空気層が豊かになりたくさんの有効な菌たちが活発に働き始めます。

屑米も次なる命へ

選別で弾かれた屑米は希望すれば持ち帰ることができます。青米と呼ばれる未熟米や籾の中が育ちきらなかったシイナと呼ばれるものなどです。

我が家ではその屑米も大切な飼料となります。

我が家にはオランダの黒鳥ネラという鶏がいて、毎朝卵を産んでくれます。

ネラの前には名古屋コーチンもいて、早7代ほど鶏と暮らしています。

歴代、我が家で生まれた有精卵を代表が孵卵器で孵し育てました。

鶏の餌は古米や屑米に加えて、米ぬかを発酵させた発酵飼料や畑でとれた青菜や残飯。

放牧して土や虫をつついたりと多様です。

冬は毎日氷点下となる八ヶ岳では即エネルギーとなる糖質の餌も重要です。

全てが命のバトンとなる米

鶏たちの寝床は落ち葉と米ぬか、木屑などを混ぜ込んだ温床です。高温になると60℃近くにもなりますが、長い冬、ゆっくり発酵するように調整しています。だんだんと土となりミミズが発生してまたそれが彼らのエサにもなります。

高い木の上に眠る習性のある鶏は天井近くに吊るした止まり木に眠りますが、温床から上がる暖気で暖かに眠ります。

産卵室には稲藁でクッション作りです。
ここでも稲作から出る資材が大活躍。鶏の暮し切っても切り離せません。

もちろん米からもらうばかりでなく、鶏糞もいろいろな作物に循環していきます。
農的暮らし、特に稲作をしていると次々と繋がって命の循環を感じることが多く、自然と自分も生かされていることに感謝の気持ちが生まれるのです。

そんな感謝の気持ちと共に新嘗祭を迎えたいと思います。

sameera