私たちの自給大豆

先日標高900mの我が家にも積雪がありました。

ここは八ヶ岳でも南麓と呼ばれる太陽の光が燦々と降り注ぐ地域なので、朝雪が積もっていても昼には溶けて無くなってしまいます。

しかし気温の上がらないこの季節は建物の北側など太陽が直接当たらない場所の雪は溶けることなく春まで根雪なります。

そうなってくると農的暮らしは畑での作業は仕舞いで、後回しにしていた乾物収穫物の後処理や保存の仕事が始まります。

今まさに手がけているのは大豆です。

私たちが育てているのは『借金なし』という秩父在来種の大豆です。

10年ほど前に甲府で創業150年の老舗の味噌蔵の五味醤油さん、八ヶ岳の老舗自然栽培農家の畑山農場さん、昨年アートビーングでもお米を販売していただいた自給農園めぐみのさんが開催された「大豆レボリューション」という大豆をみんなで栽培し繋いでいくという会に参加しました。

その時に一緒に収穫した種を以来10年間無農薬無施肥で継いできました。

*左から五味さん、畑山さん、湯本さん 

今年も11月の半ばに畑から収穫し

12月の頭に地域の農協が安価で個人に開いてくれている機械選別機にかけてざっくりとゴミ取りとクズ大豆の選別をしてきました。個人の農家がポンと買えるものではないのでとてもありがたいシステムです。

*あずきの手選別の様子

一昨年まで(7年ほど!)は大豆の収穫後は足踏み脱穀、選別は全て人力による手選別のみでした。
仲間でそれぞれ分担し持ち帰り夜な夜な仕分ける作業でした。それはそれで楽しかったのですが、量が増えてくるとなかなかそうも言ってはいられません。

昨年この農協のシステムを知った時は天にも昇る気持ちでした。古い機械なので色選別などはついていないのですが、以前の作業量から考えると半減しました。

数年前まではこういった機械は市内に3台あったといいます。それが一台壊れ、2台壊れ、とうとうこの一台のみとなりました。しかもこの機械もかなりのご老体となりすでに不調が現れています。

職員の方に聞くと、ここ数年は15組ほどしか利用者がいないそうです。市内に大豆農家はおらず、少量の自家用や副業程度の栽培しかないのだとか。もしこれも壊れてしまったらますます大豆の栽培離れは進んでしまうもしれません。

画像出典 アメリカ大豆輸出協会

2023年の日本の大豆の自給率は7%です。
味噌や醤油、豆腐といった日本の食文化を支える大豆がです。その中で無農薬と言ったらもう微々たるもの。もう少し安全な自給率上げたくないですか?

大豆はカメムシなどにも好まれやすく、病気にもなりやすい作物です。温度、湿度、水分、除草の管理も難しく、どうしても農薬を使わないと難しいと言われることも多いです。

しかし自家用と思えば、それほど難しくありません。最近は同志の大豆栽培グループなども増えてきていると聞いています。多少カメムシに吸われていても、サイズが不揃いでも、歩留まりが悪くても、ちゃんと毎年美味しい手前味噌になってくれます。しかも安心安全でどんな風に育ってきたお豆なのかちゃんとわかっているというのはとても嬉しいものです。大豆は育てるだけで土も豊かにしますし、もっとみんな手軽に大豆を自給したらいいのに!と個人的には強く思っております。(珍しく熱く語っております)夏は枝豆も食べ放題です。

今年は猛暑により大豆は不作だった畑が多いと聞きます。そんな中比較的標高の高い私たちの畑は畝の間を広く取ったり、畝を高くしたりと工夫しながらありがたいことに例年並みの収穫があり生育も良好でした。

機械にかけたこともありだいぶ綺麗になりましたが、それでもまだ多少の手選別が必要です。
夜な夜な一粒一粒豆を眺めて、1月のお味噌の寒仕込に向けて準備をします。

昨年のお味噌を開いて、次のお味噌を仕込む準備もしておかないと。

そして次の種を継いでいくことも大事な仕事です。

みなさんも手前味噌作りいかがですか?

sameera