アートビーングの田んぼ紹介:EMBC農法+代掻きも田植えもしない稲作実験:陸稲の多年草化

アートビーングの田

八ヶ岳

八ヶ岳の裾野に広がる中山間地域にアートビーングの田んぼはあります。八ヶ岳の裾野のため傾斜があり、その傾斜を利用して水路で水が田んぼに給水されます。

10月~3月はインドでヘナの買い付け製造の仕事をし、4月~10月頃までは八ヶ岳で米作りをするという生活を10年続けています。安心安全なヘナを自分で製造して自身でも使っていますが、安全へのこだわりが行き着くところは食なのでした。自分で田んぼもやって安全なお米を自分で作り、それをやがて皆さんにも提供したいと考えるようになりましたが、最近、考え方がかわってきたのです。ただ農薬や肥料を使わない…だけでは十分でなかったのです。ということで、現在、EMBCを活用することを始めています。

EMBC(複合発酵酵素水)の活用

農業の基本は微生物です。微生物を繁茂させるためにEMBCを活用した農業実験を現在行っています。具体的には高嶋開発工学総合研究所のEMBCの技術によりエナジー水(複合発酵酵素水)を生成させ、エナジー水(外見的には単なる水)を農産物に散布しています。

複合発酵酵素水生成装置

写真上はエナジー水(複合発酵酵素水)発生装置。有機物を複合発酵させることで大半の有機物が消失し、水=H2Oになります。

陸稲多年草化実験

農園を借りて、日曜に野菜を育てているという、そういった野菜の栽培を経験されている方は少なくないと思います。ところが、肝心のお米については、そうした気軽さがありません。稲作の場合、田植えは手で植えることはかろうじて可能だとしても、トラクターによって代掻きする必要があり、数百万もするトラクターを用意することは困難で、稲作は家庭菜園の延長では難しいものでした。

稲作をいかに家庭菜園として可能にする?

その困難さを乗り越える一つの回答が「陸稲」です。陸稲が可能となれば各自が家庭菜園の延長として稲作が可能となります。さらにその先には陸稲を越冬させて多年草化させ、田植えをなくし、雑草の世話をするだけで毎年実りの秋を迎えられないか、そのやり方の実験を開始しています。

食は自身で育てる

アートビーングでは、農作物の提供だけでなく、いかに自身で農作物を手を抜きながら楽に育てるかのやり方を実験し、お伝えできればと考えています。

なぜお米を家庭菜園の延長として一人一人が育てるべきか?

写真は自給農園めぐみのの湯本さん。彼は1町歩(おおよそ1ヘクタール)ほどの田んぼをすべて天日干ししている。

稲刈り

お米は天日干しが最も生命力がある

お米は実は天日干しが味、生命力、、、いろいろな点で断然よいのです。天日干しの米は発芽する力をほぼ保持していますが、機械乾燥で高温にさらされると発芽できないお米が一定量、含まれてくる。発芽することがない米=生命力のないお米になってしまいます。

稲刈り

天日干し……よいのはわかっていても、なかなか天日干しにできない。実際に市場に流通しているお米で天日干し米は非常に少ない。湯本さんも1町歩が限界でそれ以上はやりたくても天日干しができない…天日干しは手間がかかる工程です。

大半はコンバイン刈り取り→機械乾燥する低コスト米

そのため、現在、大半のお米はコンバインという刈り取りと脱穀が一度に済んでしまう機械があっという間にお米を収穫脱穀し、まとめて機械乾燥して精米することで、手間=コストが大幅にカットされるため、手間=労力がカットされ低コストとなり、手間=コストがかかる天日干し米は立ち行かなくなり、ほとんど市場から消えていきました。

はざかけ

八ヶ岳のお百姓さんも、食い扶持(自分で食べる分)は天日干しにしても、それ以外の分は農協のライスセンターで機械乾燥させて出荷します。世の米の大半は機械乾燥です。

天日干しは手間がかかりすぎ、労力にみあった収益がない

天日干しは営農としての農業ではほとんど不可能になっていく農法です。手間がかかりすぎ、それに見合った収益が得られません。これから先、天日干し米はほとんど消えて行ってしまう可能性があります……であるならば、各自が稲作をして天日干しをし、生命力のある、発芽力のある米を確保する、、、そのためにネックになっていた問題点(代掻きと田植え)を陸稲が解決してくれる…トラクターや田植え機も使わず家庭菜園として陸稲を栽培できる!……陸稲多年草化の可能性に多いに期待しています。

陸稲の生育状況…40分けつ以上の株も

陸稲

今年は最初の試みのためマルチを使用して直播し放置。田植えはしておらず、黒マルチに穴をあけてモミを落としただけの直播で放置。先日、通り道の雑草を刈ってよくみたところ、立派な株に成長していました。真上から見ると星型に、スター状に広がっている稲としては理想的な形状。太陽を全身に浴びることができる手をいっぱいに空にむけてひろげている形状に惚れ惚れしました。

長年、稲作をやっていた友人(故人)が、稲の形状は、まさに両手を大きく広げた形が理想なのだと言っていた、まさにその形でした。陸稲の多年草化に日本の未来がかかっているとも思えてしまうほどでした。

理想の株間

多年草化を狙っているため、株間は広くとっており現時点ではおおよそ40センチ程度。ただ、実際、将来のことを考えていくと株間は50センチ程度がよかったのではないかなと心配になるほどの成長具合でしたが、多年草で株が大きくなっていくことを考えると最初から60センチの株間が理想かもしれません。