今日は2020年産のマハラニヘナ石臼挽きを溶かしたペーストの撮影。毎年使いまわしているわけでなく、なんと毎年、新しいヘナで取り直したものを掲載。石臼挽きの特徴として、ちょっとしたぶつぶつ感があるのがわかります。このちょっとしたぶつぶつ感こそ、石臼挽きの特徴です。
ヘナの葉を石臼で挽く際に、ヘナの葉は引きちぎられるように粉になるため、目がはっきりと見える、それがよく見るとぶつぶつしているように見えるのが特徴です。ややざらついているから塗りにくいというわけではなく、この葉の粒子からヘナ特有のヌメリが滲み出てくるため、ぬるっと粘り塗布しやすいのです。
重さ1トンの石臼が2枚、上の石臼が回転し、その隙間をヘナの葉が通過する際にヘナの葉は引きちぎられるように粉になります。
ヘナの作柄:粘り10%減、染まり10%増
今年は世界的な天候の変動をうけ、ヘナの産地ソジャットでも通常の天候とは言い難く作柄が心配されていましたが、マハラニでは色素が例年よりも濃いヘナの買い付けに成功しました。ここまでの差となると一般の方がお使いになってもわかるかもしれません。その特徴は……
色素含有量:3.01%
ヘナに含まれる色素、これを「ローソニア色素」と呼んでいます。この色素量はその含有量を化学的に検出することが可能なため、毎年、ヘナの葉の原材料を買い付けた後、ローソニア色素量の検出を行い、一定の色素量のものを製造しています。マハラニでは、良質なヘナに含有されるローソニア色素量を2%以上と定義し、2%以上、ローソニア色素量が検出されたものだけを次のステップ、実際の粉末化工程へと進めます。2020年産マハラニヘナ石臼挽の、最終的なローソニア色素量は3.01%と例年を上回る色素量となっています。
昨年が2.64%でしたので、2020年産は10%以上色素量が多いことになります。それが何度もテストしていますが、以下のような結果として目にみえるようになっています。
ただ、これは色素量の違いだけではありません。ローソニア色素の質の違いもあります。
染めた直後は同じように染まり、翌日以降、色の伸びがすばらしくよい
上の写真は、比較実験のため、同じように染めて比較したものを、染めた翌日に撮影したものです。洗い流したときは、どちらも大差はありませんでしたが、翌日になると、2020年産は色がより濃く発色していました。空気にふれ、酸化することで色の伸びがよいローソニア色素であるといえます。2019年産ももちろん色伸びはよいのですが、2020年産は例年よりもさらに色伸びがよい色素の性質があると言えるでしょう。
粘りは10%減
2020年産は2019年産の石臼挽きと比較して粘りが10%減です。これが何を意味するかというと、溶かし加減に調整が必要になります。いままでと同じ練り加減にするためには、10%ほど水気を少なく入れる必要があります。例えば………
2019年産マハラニヘナ石臼挽き100gに400gの水
これで手で塗る場合はちょうどよい加減になります。ヘナの重さに対して4倍の水です。同様の練り加減にするには
2020年産マハラニヘナ石臼挽き100gに360gの水
となります。ヘナの重さに対して3.6倍の水量で溶かすとよいでしょう。2020年産はやや粘りが少ないため、保水性がやや弱いので、ヘナペーストを作る際に注意してください。
ヘナは発売遅れの理由
ヘナの産地での予想外の雨などの影響で、予定していたヘナ畑の作柄不良が発生し、目利きに予想外の時間がかかってしまいました。製造日程が遅れ、出荷が完了したところ、世界的なコンテナ不足の影響で、埠頭にてコンテナの順番待ちがあり、倉庫にて3週間ほど発送までかかった影響と、経由地での人手不足などによる配送の遅延など、複数の要因が重なることで、製品の発売が通常より遅れました。天候に世界情勢が重なってしまったことによるものです。