ヘナは長時間寝かせて熟成させるほうが染まりがよい?

ヘナは長時間寝かせて熟成させると染毛力が減衰する

「ヘナの寝かせ時間はどの程度がよいでしょうか?」

「ヘナは水に溶かしたら一晩寝かせると聞きました」

こういったお問合せをいただきます。そこで、過去に何度となく、ヘナを溶かしたら一晩、あるいは二晩、三晩と寝かせて熟成させると染毛力がどう推移するのかなどの実験を行っています。結論はいつも同じ結果。

ヘナは熟成させると染毛力が減衰していきます

ヘナの熟成と染毛力の関係図

上の写真で結果は一目瞭然。インドでは「ヘナは一晩寝かせて」というのが合言葉のように言われてきましたので、最初は一晩寝かせておりました。ところが…

熟成ヘナは皮膚には染まりやすい!皮膚を染めるには熟成ヘナ!

このヘナを寝かせて熟成させるやり方は、どうも髪を染めるためのやり方ではなく、皮膚に染めるための溶かし方であることがわかってきました。

インドでのヘナ使用の主目的は皮膚を染めるメンディアートなのです。

皮膚に染めるメンディアート用としては一晩、二晩と寝かせて熟成させるほうがよく染まります。が、髪に染める、染毛力は熟成させればさせるほど弱ってきます。少なくても現時点までに何度となく行ってきた実験の結果からはそう考えられます。

熟成ヘナの染まり具合を実験
長時間熟成したヘナペースト

上のペーストの右は一晩寝かせたヘナペーストです。色が茶色で色素がよく出ているため染まるに違いないと思いたくなってしまうのですが、必ずしもそうではありません。

確かに熟成させたヘナペーストのほうが皮膚にはよく染まります。熟成ヘナはちょっと皮膚についただけですぐに皮膚が染まってしまいます。が、髪には必ずしもよく染まるとは限らないのです。

上の左のペーストは1時間程度寝かせただけのヘナペーストですが染毛力はこちらのほうがよく、また、皮膚を染める力は左のやや緑っぽいペースト(熟成していない)もののほうが弱いのです。

ヘナで頭皮が染まります
ヘナで頭皮は一時的に染まりますが、落ちやすいため通常は翌日には目立ちにくくなっています。染まりやすい方は頭皮のオイルマッサージでオイルを染み込ませておくといいでしょう。
オイルの頭皮へ塗布
オイルは皮膚へのヘナの染まりを低減させ、染まっても落ちやすくする効果
コットンに染み込ませ頭皮に刷り込む

おすすめはヘッドマッサージオイルR。ローズの香りが心地よく、ヘッドマッサージオイル、ヘアオイルとしても使い心地がとてもよいです。

ヘナで頭皮は染まりますが、熟成させ(長時間寝かせた)ヘナのほうが一層頭皮が染まりやすいので熟成はおすすめできません!

熟成とヘナの染毛力の関係

上記のように別の実験でも同様の結果が出ています。24時間熟成の、茶色のヘナペーストのほうが濃く染まるように思えてしまうのですが、実際はやや緑っぽい熟成していないヘナペーストのほうが髪にはよく染まる、つまり染毛力は熟成とともに弱っていくのですが、染皮力、皮膚を染める力は熟成すれば染める力が高くなっていきます。

熟成ヘナは洗い流した直後は確かに濃く染まっているが……

熟成ヘナの最初の見え方

美容室などで、ヘナを洗い流した後、すぐにヘアドライヤーを使う必要がある場面などでは熟成ヘナはいいのかもしれません。ヘナを洗い流した直後、確かにしっかり染まっているように見えます。ただし、これも1~2時間経過すると、熟成していないヘナに抜かれてしまいます。熟成させる、酸化させることで一定度、染毛力は失われるようです。

ヘナの熟成と染まりに関する再々の補強実験(2019.11.18)

ヘナの熟成と染まりに関するテーマは十年程度、実験を繰り返しており、幾度となく条件を変更して実験を重ねています。今回も念のため、補強実験を行いましたが、やはり結論については変更ありません。

注意点は、洗い流した直後は熟成させたヘナのほうが色が濃く見えます。特に、ヘナを洗い流し、ヘアドライヤーなどで速乾させる方法を行うと、その直後においては、あらかじめ熟成させたヘナ、特に48時間など、長時間熟成させたヘナのほうが色濃く発色しているように見えるのです。

ただ、それも長続きはしないのです。やがて、通常の仕方で染めたヘナに発色が追い越されてしまう。その結果が以下です。

ヘナの熟成と染まりの関係

特に丸二日間、48時間寝かせたものははっきりと染毛力が弱っていることがわかります。一晩(8時間)~24時間程度では染毛力の弱りは顕著ではないのでわかりずらいですが、48時間ともなるとはっきりと、あくまで最終的な仕上がりにおいて色が弱っています(比較しないとわかりません)。それでも洗い流した直後は断然48時間寝かせのもののほうが発色がよいので、それで熟成させたほうがよく染まると錯覚してしまいがちなのですが、実際は違うようです。ちなみに0.3時間とはおおよそ20分です。溶かして馴染ませ時間20分で染めたのものです。

発色の違いより、、、熟成によって多少の染まりが悪い程度は問題ないのですが、ヘナの臭みが熟成によってかなり増してしまう点が、実は熟成をおすすめしない一番の理由です。二番目の理由は熟成が皮膚を染めるために行う方法であって、熟成することで頭皮が一層染まりやすくなる、そういう理由で長時間のヘナの熟成(例:一晩など寝かす)はおすすめできません。

ヘナを鮮度のあるうちに塗りたい

ヘナは髪に染める場合は熟成させず、15分~1時間程度馴染ませて使う

ヘナを溶かして塗る時間

数字はヘナを溶かしてからの時間です。たとえば、「1」とあるものは、ヘナを溶かして1時間経過後、1時間染毛したものを示します。同様に24とあるものは、ヘナを溶かして24時間後に1時間染めたものです。この実験からわかったことは……

ヘナ染毛力の予想チャート

ヘナを溶かしてからの経過時間で染毛力がどのように推移するかが上記のとおり、大方わかってきました。

熟成ヘナの欠点:染毛力が劣り、染皮力が強い

あくまで同じヘナの場合ですが、熟成させることで、より頭皮がしっかり染まってしまい(頭皮の赤味染まりの問題)、染毛力を弱める結果になりますので、おすすめできません。

熟成ヘナの欠点:ヘナの臭みが増す

一晩寝かせるなどによってヘナを熟成させると、ヘナの臭みが増していき、二晩ともなると、その匂いに不快さを覚える場合があります。それ以上放置して熟成させると発酵して腐っていきます。熟成とはある意味、腐っていくプロセスといえるかもしれません。ちなみに、皮膚に染める場合は熟成が必須ですので、数日熟成させる間にヘナペーストを腐らせないためにかなりの量のエッセンシャルオイルを混ぜ込みます。

結論:ヘナはお湯で溶かしたら馴染ませ時間15分~1時間の間で塗布しましょう

by マハラニヘナ製造担当者:鈴木(アートビーング代表)