マハラニヘナの体験談に参考になる体験がありました。
「……３年の間に色々なやり方でヘナ染めしてきましたが、様々な発見がありました。その中でも、ヘナをぬるま湯で溶かして３０分以上待たずに髪に塗ってみたことがありましたが、すぐに塗ってしまったことがいけなかったのか、それとも封を開けたばかりだったからかはわかりませんが、その後の抜け毛が著しかったことに驚きました。一時的なものでしたが、ヘナを溶かして１時間くらい置くことにはもしかするとヘナの刺激を減らす作用があるのかもしれません……」
ヘナを溶かしてから寝かせ（ペーストの馴染ませ）時間３０分未満に塗布することで抜け毛が増えるかどうかは実際は不明です。体験談の方はそうかもしれないと考えいているようですが、いずれにしても、溶かしてすぐに塗布するのはおすすめしていません。理由は……
ヘナは５０～６０度のお湯に溶かして３０分～１時間馴染ませてから塗布する（溶かしてすぐには塗布しない）
実際、私たちは、ヘナを溶かしてから３０分～１時間の間、放置して寝かせてから塗布します。寝かせる、馴染ませることで、ヘナが水気を吸い込んで粘りが出てくるために塗布しやすくなります。
注意：冬場などは馴染ませている間にペーストが冷えるため湯煎する
普通３０分程度溶かしますと、特に冬場などはヘナペーストは冷えています。冷えたら湯煎して温めますが、それよりは放置して寝かせている間に６０度程度の熱めのお湯にヘナペーストのボールを浮かせておき、蓋をしておきます。すると３０分くらいするとちょうどよい温度加減のペーストになっています。
ヘナを一晩程度、放置し寝かせたらいけない？
白髪束をつかって実験をしてみたところ、ヘナを溶かして８時間（一晩程度）経過したペーストで１時間、白髪束を染めたところ、染毛力が弱っていました。１２時間程度経過すると顕著に染毛力が落ちていきます。
ヘナの染毛力のピークはヘナを溶かしてから１時間後
ヘナの染毛力のピークはヘナを溶かしてから１時間後です。実際のところ、塗り始めて作業が終わるまでに１５分程度はたっていますので、ヘナを溶かしてから３０分～１時間で塗り始めましょうとお伝えしています。
ヘナを溶かしてから３０分程度から塗り始めるのかよいか、１時間がよいか、ぜひ皆様もご自分で見つけてみてください。
「メンディアート（ヘナタトゥー）」用と髪用のヘナの溶かし方は違う
ちなみに、インドでは（おそらく日本でも？）「ヘナは一晩寝かせて」と合言葉のようになっています。ただし、これは髪染めとしてのヘナの溶かし方ではありません。かつても今も、インドでのヘナの主要な使われ方は「メンディアート（ヘナタトゥー）」で、皮膚を染めるもので、これについては寝かせたほうが染まりがよくなります。
写真はインドの国民的映画スター「アイシュワラ・レイ」。結婚式には花嫁は全身にヘナタトゥーを施される。彼女は知らないのですが、マハラニヘナ製造時に余ったヘナが彼女に送られて、彼女の結婚式に使われました。これはその時の写真であると、あとから教えられました。これはあくまでオフレコの話ですが、いまは昔、１０年以上も前の話です。
皮膚の上にヘナで模様を描いていくヘナアートですが、少しでも濃く染める、可能な限りこげ茶色に発色させるために、いろいろな工夫が必要で、ヘナタトゥーの場合は最低でも一晩寝かせるて熟成させることが必須で、寝かせることで皮膚の上によく染まるようになります。さらに、ヘナアーチストたちは各種のオイルを混ぜ込んで数日寝かせて熟成させヘナタトゥー用のペーストを仕上げます。こうした皮膚を染めるための熟成ヘナの溶かし方と、髪を染めるためのヘナの溶かし方は違うのですが、両者が混同され、ヘナは一晩寝かせてと言われていますが、熟成させるのはメンディアート用の溶かし方であって、髪に使う目的では、ヘナは溶かしてから３０分～１時間で塗り始める（熟成させない）のが正しいやり方です。
ポイント：ヘナは熟成させる、寝かしすぎると匂いが強くなり、場合によっては臭みが出てくる
また、長時間寝かせたヘナ、熟成させたヘナペーストを髪に塗布するのは別の意味でもおすすめできません。理由は熟成させている間にヘナ特有の匂いが強くなり、場合によっては臭みが強くなってくるからです。ヘナは通常、温度が高いと３日ほどでカビのようなものが表面に出てきます（ガンマ線で殺菌されているものはカビはでないと考えられる）。一旦、溶かしたヘナはなま物ですので腐敗するのが自然の摂理です。熟成期間に菌も一緒に繁殖しています。一晩程度は別としても、それ以上の長時間熟成させるのは全くおすすめできません。
ヘアケアにおいては、ヘナは鮮度が命。鮮度があると香りもよく使用感が心地よいのです。
