A社のヘナは溶かしてダマにならず、すぐに塗布でき、ヘナは目細かく塗りやすかったのですが、石臼挽きを今回試したところ、溶かしたらダマダマで、しばらくしたらすごい粘りがあり、あまりの違いに驚きました。個人的にはダマにならないヘナのほうが塗りやすいように思いますが、、、
微粉末のヘナ?vs 粗挽きの石臼挽き?
高品質ということで販売されているヘナの多くが「微粉末」「木目が細かい」ことを特徴として謳っています。それに対し、マハラニは真反対……石臼挽きという、あえて細かく挽かない粗挽きの良さをお伝えしています。
微粉末のメリット:溶けやすい、ダマになりにくい、塗りやすい
微粉末であれば、おそらく最低でも100メッシュ以上、場合によってはさらにもっと細かくヘナの葉を砕きます。非常に小さい粒子のヘナの粉末ですので、水に溶けやすい、ダマになりにくい、これがメリットです。
微粉末ヘナは染毛料、安全なヘアダイに近いものを目指し、さっと溶かして塗りやすい
日本ではヘアダイ、カラーリング剤が最初に使用され、その有害な側面に心配になる方々が安心を求め……天然素材の白髪染めがほしいという要望の中でヘナが使われ始めた……ものの、ヘアダイとヘナの使用感のギャップに戸惑う、不満を感じるユーザーが出てきて・・・そのギャップを埋めるためにヘナをより微粉末化、使用感をヘアダイに近づけるために様々な努力がされてきた……ヘナの使用感をよりヘアダイに近づけていく努力の結果として、さっと塗布して塗りやすい微粉末ヘナが出てきた・・・。ヘナの日本での展開は「安全な植物性染毛料」という方向性です。
微粉末に製粉されたヘナは変質している??
ただし、ヘアダイに近づけていく、使用方法がヘアカラーのようにに染められるように目を細かく製粉されたた微粉末ヘナは、このメリットを追求したことで失ったものが大きいと感じています。粉末の目を細かくするためには製粉装置によって圧をヘナにかけなくてはなりません。高い圧をかけて擦れば擦るほど目が細かくなりますが、その過程で確実にヘナが変質している、ヘナ本来の良さが失われていると自身は感じています。
製粉装置は基本、金属と金属が擦れ合う隙間をヘナの葉が通過していく際に粉になります。上はソジャットで一般的に使用されているハンマー製粉装置の蓋を開けたところ。
ヘナ製粉時にヘナが瞬間的に高温に加熱される
合金のハンマーが何枚もついている回転盤の炉の中を高速で回転し、ヘナが強烈な勢いで通過することで製粉される。瞬間的に200度~300度と高温になるため、焼ききれないようにすぐに空気中にまきあげてやることで空冷する。
写真は粉末化の際に使用されるハンマー。左端と右端は交換のためにとりはずされたもののため、先端部や全体的に摩耗して減っているのがわかります。中央の二つは、これから交換する新品のもの。比較してみると、どれだけ摩耗しているかがわかります。
木目を細かくすればするほど金属粉が僅かに混ざる
木目を細かくするためには金属と金属をぎりぎりまでこすりつけていく必要があり、木目を追求することで、金属粉がヘナの中に増えてくる。これが不快な印象をヘナの粉にもたらしていることに気づいたため、通常のヘナの粉を機械挽きをしてもらう際も、あえてあまり木目を細かくしすぎないようにお願いしています。詳しくは以下へ。
ヘナ本来の良さを楽しめないヘナになっている?
ヘナの使用感を愛する自身としては、微粉末に仕上げられたヘナは確かに使いやすい染めやすいのだろうけども、それは単なる安全な白髪染めにすぎない、ヘナ本来の良さが失われ、ヘナの楽しみを味わうことができないものになっている、と感じられます。
石臼挽きはヘナの本来の姿!
ところが、インドでは最初にヘナがありました。ヘナがヘナ本来の姿として長い間使われてきたため、使用感をヘアダイに近づける必要性はなく、ヘナをあえて細かく微粉末にすることはありませんでした(ごく最近までは)。ヘナは溶かしずらくダマになるので馴染ませるために寝かすが普通だったのです。
石臼挽き=粗挽きのデメリット、溶かしずらい溶かしてすぐに塗布できない!溶かして少し寝かせないと塗布できない
上の写真は石臼挽きヘナに水を落としてかき混ぜ始めたときの写真。ヘナの粒子がはっきり見えます。ヘナの粒子が水を吸い込み始め、その様は不均一ですので溶かし始めた際はどうしようもないダマダマ(写真下)になります。
溶かし始め、一旦、軽くかき混ぜてから1時間ほど放置して再度、かき混ぜることでよく粘るヘナペースト(写真下)となり、心地良く塗布できる状態になります。石臼挽きヘナは1時間程度は馴染ませる必要があります。
数千年続くヘナのカタチを保つ石臼挽き
いまから40~50年ほど前までは、インドでは上記のような石臼挽きヘナが標準でした。こうした石臼で挽かれたヘナが数千年にわたって使用し続けられてきたわけで、長きにわたって使われ続けたヘナのカタチ、それをそのままにお伝えしているのがマハラニヘナ石臼挽きです。あくまでも伝統の姿にこだわるのは、ヘナには安全な白髪染めというだけでない側面がある…ヘナをヘナとして楽しめることができるよさがあるからです。
粗く挽かれているためトリートメント作用が高い
トリートメント作用の良さが石臼挽きヘナの特徴の一つです。ヘナを細かく挽く際、どうしても圧がヘナの葉にかかります。そのため、ヘナの葉液成分が一程度焼き切れます。ローソン色素は保たれるものの、トリートメント成分が減衰することが体感的にわかっています。
髪のロングなインド女性にとって、ヘナは白髪染めというよりはロングな髪を維持するためのトリートメント剤として利用されてきたこともあり、ロングヘアには粗挽きヘナがおすすめです。
石臼挽きには目利きが欠かせない
ヘナに最低限の加工をする、つまり石臼で粗く挽くだけですので、ヘナそのものの品質がとても重要になります。最低限の加工の場合、そのヘナの持つ品質がそのままに現れてきます。
目利きでは、ヘナの香り、これは使用感に直結するため重要です。ヘナを溶かした直後の香り、、、さらに、ヘナを溶かして1時間くらい放置し、ヘナに含有されるローソン色素が香り始めますが、その色素の香りをチェックします。検査ではローソン色素量の検出はできますが、香りのチェックはできません。だから目利きが必須。さらに・・・実際の塗布試験が欠かせません。
ヘナのシーズン中ともなると、サンプル毎に使用感テストをやっていきます。ヘナの中にはトリートメント作用の高いもの、低いもの、香りのよいもの、臭いもの、さらに説明しずらい使用感などの違いがあります。特上のヘナにはなんともいえない心地よい使用感があるのです。こうした使用感は検査で数値として検出できるものではないため、現地での目利きがとても重要です。
自身は毎年ヘナの季節になるとヘナ目利きのためにインドで待機、サンプルがあがってくるたびにヘナの目利きをし、自身で最良と判断するヘナを石臼で挽いてもらい、真空パックして日本に届けてもらっています。
結論:ヘナは微粉末か石臼挽きか?
一言で言ってしまうと、「好み」になります。とにかくちゃちゃっと染められたら良い、ヘナを溶かしてすぐに塗って終わりにしてしまいたい、、、そういう場合は微粉末と言われるヘナも検討されるといいでしょう。
自身のように、月に1~2回、心地よいヘナタイムを味わいたい!単なる安全な白髪染めとしてでなく、ヘナの髪へのトリートメント作用を大切にしたい、ヘナを趣味のようにも楽しみたい、リラックスしたヘナタイムを楽しみたい、そんな皆さんには間違いなくヘナ石臼挽きがおすすめです。